WEBで広告を出稿し自社の商品やサービスを宣伝しようと思ったらいくつかの選択肢がありますが、代表的なもののひとつが『リスティング広告』です。WEB広告を検討するとまず最初に挙がる候補でもあり、選択肢の一つとして必ず登場しますので名前ぐらいは聞いたことがあるという人もいるはず。
でもじゃあ「具体的にどんなものなの?」「他の広告との違いは?」「SEOと比較したら?」と言われるとよくわからない…なんて人も多いでしょう。
そこで今回はそもそもリスティング広告とは何か?という話から、その仕組みや他の広告・SEOとの違い、メリットデメリットまで、リスティング広告の基礎を丁寧に説明します。この記事を読めばリスティングに関する基本は押さえられるようになりますので、WEB広告を出稿する前の準備としてぜひ参考にしてください。
リスティング広告とは
それでは早速、まずは「そもそもリスティング広告とは何か?」について説明していきます。
『リスティング広告』とは、PPC(Pay Per Click=クリック毎の支払い)広告の一種です。Google広告やYahoo!広告などが代表的で、GoogleやYahoo!といった検索エンジンの検索結果上部や下部の広告枠に、WEBサイトを掲載することができます。日本語では『検索連動型広告』とも言われているものです。
たとえばGoogle検索で『リスティング広告』と検索すると、下記のような画面が表示されます。
このとき、検索結果の上部に赤枠で囲った『スポンサー』と記載された部分が表示されますが、ここがリスティング広告で出稿された枠になります。
リスティング広告は自然検索と同じ検索結果画面のページ上部(あるいは下部)の目立つ位置に表示されます。
ディスプレイ広告との違い
ちなみに、クリック課金型のPPC広告というと、リスティング以外にも『ディスプレイ広告』などがあります。
ディスプレイ広告は主にWEBサイトやアプリに表示されるバナー画像や動画、テキスト広告のこと。たとえば下記画像はYahoo!JAPANのキャプチャーですが、画面右側に表示されているオレンジ色の枠の部分がディスプレイ広告になります。
大きな括りとしてPPC(クリック課金型)広告があり、その中の分類としてリスティング広告やディスプレイ広告があるということですね。
ディスプレイ広告もリスティング広告と同様Google広告やYahoo!広告での配信もできますし、それ以外にもMeta(Facebook・Instagram)広告など様々な媒体での出稿が可能です。また検索エンジンの検索結果に表示されるリスティング広告よりも配信面(配信先)の選択肢が多く、年齢や性別・地域を始め興味関心などといったセグメントを細かく設定して出稿ができます(※リスティングでも地域や属性などの一部項目は設定可能だがディスプレイ広告のターゲティングのほうがより細やかなことが多い)。
ただし明確な意図をもって検索してくる顕在層にアピールできるリスティングに対して、ディスプレイ広告は主に潜在層(興味はあるが今すぐ求めてはいない層)にアプローチすることになります。
ですから、リスティングを選ぶか?ディスプレイを選ぶか?(あるいは両方併用するか?)は、商材やターゲット層などの条件により都度検討が必要です。
SEOとの違い
検索結果に表示される、というと『SEO』との違いは何か?疑問に思う人もいるかもしれません。
SEOは『Search Engine Optimization』の略で、日本語で『検索エンジン最適化』のことを言います。その名の通り、GoogleやYahoo!などの検索エンジンに自社のWEBサイトを最適化して、特定のキーワードで検索されたときに上位に表示されることを目指すこと、あるいはその施策ことを指します。
リスティングとは同じ検索結果画面に表示されますが、リスティングとは異なり定期的なコンテンツの更新など施策の積み重ねによって自然検索での上位獲得を目指します。当然広告ではないので、(コンテンツ制作にかかる人件費などはありますが)直接的に費用が発生するものではありません。
またリスティングが早ければ即日にも検索結果上に表示されるのに対して、SEOでは検索エンジンにインデックス(登録)され検索でヒットするようになるまでにも一定の時間がかかりますし、更に狙ったキーワードで上位を獲得しようと思うと数ヶ月、ものよっては数年という期間がかかることもあります。
広告費がかかるけどすぐに検索上部に露出できるか?費用はかからないけど時間がかかるか?この点がリスティングとSEOの最大の違いとなります。
リスティング広告の基本的な仕組み
PPCやディスプレイ広告、SEOといった比較混同されがちな概念との違いを説明した上で、もう少し詳しくリスティング広告の仕組みを説明していきます。
費用は入札(オークション)制
リスティング広告の基本は入札(オークション)制です。ほとんどの場合、あなたの商品やサービスには類似商品やそれを扱う競合他社がいるはずです。
そうなると当然その商品・サービスを宣伝するための出稿ワードも被りますから、同じキーワードの取り合いになります。このとき、1日当たりの予算あるいは1キーワード当たりの予算を設定するわけですが、同じキーワードで出稿したい人同士の競り合いになりますので、入札単価が高いほうが有利になります。
掲載位置と広告ランク
今、リスティングの基本は入札制だと説明しましたが、単価が高ければ高いほど必ず上位に掲載されるわけではありません。
リスティングの掲載位置は『広告ランク』によって決定されます。
広告ランク(Yahoo!では『オークションランク』)とは、入札単価の他、広告やランディングページの「品質」など複数の要素によって決まるもので、原則として広告ランクの高い順に検索上位に表示されます。広告ランクは「入札単価×広告の品質」によって決定するため、単価が低くても広告の品質が高ければ上位を獲得できる可能性があり、費用を抑え広告効果を改善する意味でも、広告の品質は重要になります。
※広告ランク(オークションランク)と掲載位置の詳細についてはGoogle広告「広告ランクについて」、Yahoo!広告「掲載順位の決定方法」も確認してください
リスティング広告のメリット・デメリット
リスティング広告の大枠や仕組みの基本を理解したところで、それではどんなときにリスティングを利用するべきなのか?どんなときにはリスティングは向かないのか?メリット・デメリットから考えていきましょう。
リスティング広告のメリット
まずはリスティング広告のメリットから。
顕在層にアプローチできる
リスティング広告のわかりやすいメリット・武器がこれ。「顕在層にアプローチできる」ということでしょう。
リスティング広告は設定したキーワードを検索したユーザーの検索結果に表示されるものですから、広告を目にするユーザーは何らかの目的意識を持って能動的に情報を探しに来ているユーザーです。たとえば「ホームページ制作 格安」や「パーソナルトレーニング ダイエット」といったキーワードは検索ユーザーが何を求めているか明確ですね。
これらのキーワードで検索してきたユーザーに対して、ホームページ制作であれば他社よりお得な制作プランを提供したり、パーソナルジムであればダイエットに効果的なメニューを訴求してあげれば、高い割合で問い合わせや申込に繋がることが想像できるでしょう。
このように、自社の商品やサービスに興味を持っていそうな層に狙って接触できるのがリスティング広告の最大の強みです。
すぐに効果が出る
リスティング広告は「すぐに効果が出る」というのも大きなメリットです。すでにHPやLP(出稿したいWEBページ)がある場合、基本的な設定を済ませ出稿すれば即日広告の配信も可能です。
その後コンバージョンが取れるかどうかは広告文や誘導先LPの出来にも左右されますが、内容次第でその日から問い合わせが来ることも十分に有り得ます。
検索上位を獲得できればコンバージョンに繋がりやすい、という点ではSEOと同じですが、SEOは前述の通り検索エンジンに評価されるまでに時間がかかるため、SEOで上位表示にかかる時間をショートカットできると考えると利点の大きさはわかりやすいでしょう。
少額から始められる
またリスティング広告は他の広告に比べて少額から始めることが可能です。
たとえばGoogle広告は最低出稿金額が定められていないので1円から出稿できますし、Yahoo!広告も100円から出稿が可能です。もちろん現実的には1円や100円といった予算ではほとんど広告が露出されることはありませんし、露出しても1回のクリックで予算を消化してしまうのでコンバージョンの獲得までは結び付かない可能性が高いですが…理論的には設定は可能です。
ですから、他の広告媒体のように「最低〇〇円用意しないと広告が出せない」ということがなく、月数万円からの予算でも、自分が支出可能な範囲で予算を設定できるので気軽に始めやすい広告と言えるでしょう。
柔軟な運用ができる
今お話してきたように、リスティング広告は「その日から配信も可能で」「予算も自由に設定できる」という強みを持ちます。また配信だけでなく広告の停止もすぐに可能です。加えて、一度広告を出してしまったら内容を変更できない紙媒体などとは違い、広告に出稿する広告文や誘導先LPなどはいつでも修正ができます。
だから広告を始めるのも、分析を行い広告効果を改善するための施策を実施するのも、費用対効果が合わないと思ったら撤退するのも自由自在。
非常に柔軟な運用が可能なのも、事業の上では大きなメリットとなるでしょう。
リスティング広告のデメリット
このように、リスティング広告には他の広告と比較してメリットがたくさんあるわけですが、それではデメリットは無いのか?というと当然そんなことはありません。
ここからはリスティング広告のデメリットを説明していきます。
費用が高騰しがち
リスティング広告は顕在層が検索するキーワードに対して広告を出稿するのが基本です。
だからこそ上位を獲得できればコンバージョンに繋がりやすいのですが、わかりやすく獲得できるキーワードは競合も多いです。さきほど説明したようにリスティングは入札制ですから、競合が増えれば増えるほど入札単価は高騰します。
結果、上位は獲得できたけど予算が高騰しすぎて採算が合わない…なんてことにもなりがちです。
成果数に上限がある
また顕在層にアプローチするというリスティング広告の性質上、成果数には上限があります。
検索キーワードに対して広告を設定する以上、理論上は月間の検索数が月間訪問ユーザー数の最大値になります(実際には全てのユーザーが訪問するわけではないのでもっと少なくなります)。また競合との入札競争に負けた場合、表示回数が減り十分な流入を得られないこともあるでしょう。
加えてはっきりとニーズを自覚していない潜在顧客層にアプローチすることはできないので、潜在層を取りに行くためにはディスプレイ広告などとの併用が必要になります。
このように、リスティング広告はどうしてもキーワードによって成果数の天井(上限)が決まってくるので、場合によっては期待するような成果に届かないこともあります。
資産にならない
リスティングはすぐに出稿・停止ができるのがメリットとお話しましたが、これは裏を返すと広告を停止してしまえばすぐに掲載が消えてしまうということです。
SEOなら一度上位を獲得できればその後も長期間に渡って安定したアクセスを生んでくれる可能性が高く、仮に検索エンジンのアルゴリズム変更による影響を受けても完全に消えてしまうことは通常はほぼ無く、またリカバリーすることも可能です。長期に渡って狙ったユーザーを獲得し続けてくれる、いわゆる“WEB上の資産”にもなり得ます。
一方、リスティングは広告ですので、予算をかけられなくなったりして配信を停止すれば当然すぐに検索結果上から消えてしまい何も残りません。
当たり前と言えば当たり前ですが、あくまでお金を払っている間だけ表示される、という点でリスティング一辺倒だとWEBからの集客は不安定になりがちなので、SEOやSNSといった積み重なって残る資産性の高い集客手段と並行して活用するのがベターです。
リスティング広告の基本まとめ
今回はそもそもリスティング広告とは?というところから、その仕組みやメリット・デメリットまでリスティング広告の基本を解説しました。
少額ですぐに始められ、今すぐ自社の顧客になり得る顕在層にアプローチできるという点で非常にメリットの大きいリスティング広告。もちろんデメリットが無いわけではないですが、それを補って余りあるメリットがありますし、他の集客手段と並行しながら少額でテスト的に始めてみるのが良いでしょう。